投資信託においての利益の上げ方は、キャピタルゲインとインカムゲインの2つがあります。
・安い基準価額で買って、高い基準価額で売る
という事になります。
これと似ているものとして
・安い株価で買って、高い株価で売る
があります。
並べてみると、株式と投資信託はほぼ同じように見えます。
しかし、「基準価額」と「株価」の決まり方は全然違うのです。
という訳で今回の記事では、投資信託の
・基準価額とは
・基準価額の決まり方
・基準価額の変動要因
を徹底解説していきます。
「投資信託の基礎を知りたい」
「株価と基準価額は同じだと思っていた!」
という方は、是非参考にして下さい!
基準価額とは
まずは、簡単に基準価額について説明します。
基準価額とは、投資信託に付いている値段の事です。
投資信託の運用が開始された日を基準として、基準価額が上下していきます。
多くの投資信託が1口1円で運用を開始していますが、新聞やインターネットなどで公表される基準価額は、1万口あたりの価格になります。
ex)基準価額3,000円(1万口あたり)
という感じですね。
そしてこの基準価額は、1日に1回値段が付き、前営業日の日付で公表されます。
どの日付の基準価格で購入できたか
実際に購入した投資信託が「どの基準価額で購入できたか」は、その商品の「約定日」によってタイミングが変わってきます。
2つ例を挙げるので、イメージだけ出来るようにしておきましょう。
[運用の対象が国内の株式や債券などの国内物]
「当日約定」と呼ばれる商品が多いです。
この商品は、月曜日に購入して約定をしたら、購入できた基準価額が分かるのは火曜日です。
火曜日の新聞やインターネットにて、「月曜日の日付」で基準価額が公表されます。
[運用の対象に、海外の株式や債券などが入っている国外物や国内外物(例外アリ)]
「翌営業日約定や翌々営業日約定」など、商品によって様々です。
「翌営業日約定」の場合は、月曜日に購入の申し込みをしたら、その夜の海外マーケットで注文が通り、火曜日に約定が付き、購入できた基準価額が分かるのは水曜日です。
水曜日の新聞やインターネットにて、「火曜日の日付」で基準価額が公表されます。
※どちらの例も、祝日などの休場日は考慮していません
ここまで覚えておけば、基準価額の基本としては十分でしょう。
基準価額の決まり方
次に、基準価額の決まり方について説明します。
基準価額の算出式は、
を
「総口数」
で割る
と1口当たりの基準価額が出ます。
1万口あたりの基準価額を算出する場合は、1口あたりの基準価額を1万倍するという単純なお話です。
基準価額の上昇には、運用が大切
基準価額を上げるには、”運用”で純資産総額を増やさなくてはいけません。
何故なら、基準価額の算出式が
純資産総額÷総口数
だから。
詳しく順序立てて話すと、
基準価額を上げるには、算出式の分子となる「純資産総額」を増やさなくていけない。
投資信託を買う人が増えれば純資産総額は増えますが、同時に口数も増えてしまう。
その為、ファンドマネージャーが預かった資産を上手に運用して、分子の純資産総額を増やすという事が、基準価額の上昇において大切という訳です。
という事は同時に、「人気の投資信託=基準価額が上がる」という計算式は成り立ちにくいと言えます。
この部分は、投資信託を買っている方でもご存知ない方も多いと思います。
しかし今回の記事の肝になる「基準価額の決まり方・変動要因」として大切なので、覚えておきましょう!
基準価額の変動要因
最後に、基準価額の変動要因について説明します。
基準価額の変動の要因は、大きく分けて4つあります。
・為替要因
・分配金の支払い
・手数料の支払い
一つ一つ見ていきましょう!
運用損益(インカムゲイン・キャピタルゲイン)
まず1つ目は、運用損益です。
運用で利益を出しているか、損失を出しているかという事です。
株式や債券などどの資産で運用していても、基本的にはインカムゲインとキャピタルゲインが入ってきます。
この2つの利益獲得を目指して、投資家の皆さんから集めたお金をプロが金融商品に投資しているわけです。
そしてその結果、純資産総額が増えたか減ったかが、基準価額の変動に影響を与えています。
為替要因
2つ目は、為替要因です。
この為替要因というのは、投資信託の運用先が外国の株式など「海外の金融商品」だった場合に発生します。
例えば海外の株式で運用する投資信託を買っていた場合、もちろんその株価の変動は基準価額に影響を及ぼします。
しかし海外の場合にはその他に、日本円に戻すという作業が必要です!
為替も株などと同じように動いています。
投資する時は、日本円から米ドルに替える。
戻す時は、米ドルから日本円に再度替える。
その両替のタイミングで、損益が出ます。
その損益が、純資産総額に影響を与えて、基準価額に影響を与えるという事です。
分配金の支払い
3つ目は、分配金の支払いです。
しかしこの分配金は、支払われると基準価額の下落要因になります。
なぜならば、分配金は投資信託が運用している資産(=投資家が預けているお金)から支払われるからです。
という事は、その分純資産総額も減ってしまい、基準価額の下落要因になる訳です。
イメージが付きやすいように説明します。
その資金をすべて使って、株価1,000円の株を、1,000株買いました。
しばらくたってから、100株分だけ売却して、現金に戻しました。
この100株分のお金が、分配金です。
・基準価額が下がっていれば、投資したお金の払い戻しになってしまう。
簡単に言うと、これが分配金のイメージです。
どちらの分配金だとしても、投資家にお金を払い出している状態なので、基準価額にとっては下落の要因になるという事です。
これはかなり混同している方が多いので、こちらの記事で別途解説しています。
手数料の支払い
最後!4つ目は、手数料の支払いです。
・購入時に掛かる手数料
・保有期間中に掛かる手数料
・売却時に掛かる手数料
この、3つの手数料があります。
その3つのうち保有期間中の手数料は、投資家が預けているお金から引かれます。
その為、純資産総額は減り基準価額にとっては下落要因になります。
まとめ:基準価額は、4つの要因で構成されている
今回の記事では、
・基準価額とは
・基準価額の決まり方
・基準価額の変動要因
を解説しました。
1日1回値段が付き、前営業日の日付で公表
公表される基準価額は、1万口あたりの価格
「純資産総額」÷「総口数」×1万
・運用損益
・為替要因
・分配金の支払い
・手数料の支払い
(為替要因は運用損益と見ても良いので、実質は3つの要因と見てもいいですね)
まとめると、このような内容になります。
今回学んだことは、投資信託の肝になってきます。
ここをなんとなくでも理解すると、「人気の投資信託=儲かると限らない」など今後解説する金融リテラシ―が向上する記事も、すんなりと理解できます。
後は分配金の部分で書いた、普通分配金と特別分配金の違いを理解するだけで、投資信託の基本的な部分は理解したと言えるでしょう。
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