資産形成や資産運用で、比較的リスクの低い運用商品と呼ばれる「債券」
しかし、債券なら全て低リスクという訳ではありません!
ハイイールド債のように、高い利回りを求める為に高いリスクを取る債券もたくさんあります。
しかし、
「債券のリスクが高いか低いか、しっかり判断して投資をしましょう」
と言われても、なかなか難しいです。
しかし、その判断が出来ないと投資をすることが非常に難しい!
その為、債券を発行している発行体や債券自体には「格付」という物が付与されています。
債券に投資をすることにおいて格付けを使う事は、投資の判断の助けになるのです。
この格付という物は、債券や債券の投資信託で運用するにおいて大切な要素になってきます。
今回の記事では、
・格付って何?
・誰が格付けをするの?無登録って大丈夫?
・格付の手法
・格付評価の段階(投資適格格付や投機的格付について)
について解説していきます。
格付の基礎というような内容ですが、最低限覚えておくような部分を書きました。
是非、参考にしてください!
格付って何?
投資の世界での格付けは「信用格付」と呼び、
・発行体の企業や政府など[発行体格付]
・債券などの金融商品自体[債券格付]
の信用状態をランク分けした評価になります。
[発行体格付と債券格付]
債券自体の格付と言っても、“通常は”発行体格付と同じ年の期限(同年限)の債券は、同じ格付です。
(発行体格付=債券格付になるという事)
・期限が違ったり
・返す順番が決まっていたり
・担保が有るものと無いものがあったり
様々です。
・住宅ローンを借りたり
・ちょっとしたカードローンをしたり
様々なお金の借り方があるのと一緒です。
債券格付も発行体格付が基本になりますが、借り方(発行している債券の種類)によって、異なった格付けがされることがあるという事です。
ex)
長期債務格付:債務完了まで1年以上
短期債務格付:CPなど債務完了まで1年未満
[依頼格付と勝手格付]
この2種類があります。
「依頼格付」を手数料を払ってまで格付けを行う理由は、資金調達を円滑に行う為です。
「勝手格付」は、格付け業者が必要と判断した場合に、公開されている情報をもとに行います。
格付業者が格付けを行う
デフォルトリスクが高いか低いかなど、かなり専門的な内容を調査する格付け。
素人が格付けを行うのは、難しそうです。
その為、格付けは「格付業者」という専門の会社が行います。
日本で金融庁から登録を受けた信用格付業者は、以下7社になります。
・ムーディーズ・ジャパン株式会社(Moody’s)
・ムーディーズSFジャパン株式会社(Moody’s)
・S&Pグローバル・レーティング・ジャパン株式会社(S&P)
・株式会社格付投資情報センター(R&I)
・フィッチ・レーティングス・ジャパン株式会社(Fitch)
・S&PグローバルSFジャパン株式会社(S&P)
(参考:金融庁HP 免許・許可・登録等を受けている業者一覧)
この登録制は、2010年の金融商品取引法改正によって導入されました。
投資を行う際は、格付だけで判断はしないようにしましょう。
あくまでも、判断材料の1つです。
無登録格付って何?
債券を購入すると、「無登録格付に関する説明書」という紙を貰って説明を受ける事があります。
金融庁から登録を受けた信用格付業者の7社を紹介しましたが、そこに登録していない業者が格付けをした際に受ける説明です。
「無登録」と聞くと、
「え?大丈夫なの?」
と不安になる方もいると思います。
そんな時は、どこの業者が格付けしているかをチェックしましょう。
・ムーディーズ・インベスターズ・サービス
・フィッチ・レーティングス
この3社のどれかでしょう。
S&Pにムーディーズ、フィッチと登録されている7社にも同じような名前が並んでいます。
「登録されている業者と同じような名前なのに、無登録?意味が分からない・・・」
(金融機関の営業マンでも、こんな風に思っている方はいるのではないでしょうか)
実は上の3社の場合、登録をされている7社の「グループ会社」が格付けをしている為、無登録格付けとなっているだけ。
しかし、金融庁に登録されているのは、そのグループの日本法人だけです。
おおもとの海外の格付け業者自体は登録していないので、無登録格付の説明が必要ですって事です。
「無登録格付って・・・何かあやしい業者なの?」
なんて事ではありませんので、そこは安心していいです。
繰り返しになりますが、格付けが当たる当たらないはまた別の話なので、そこは念頭に入れておきましょう。
格付の手法
格付の手法としては、基本的な3ステップの流れがあります。
財務諸表とは、「企業にとっての家計簿」というとイメージが付きやすいと思います
これを用いて、過去から将来の財務状況を予測します。
定量分析と言われる方法です。
「お宅の家計は、大丈夫そうですか?」など、聞き込みをしてデータ分析をします。
定性分析と言われる方法です。
基本的にこの流れで判断されます。
判断された後も、経済や企業の業績は変わります。
格付が変わったなという予想がされた場合は、もちろん再度格付は変更されます。
各会社の格付評価の段階
一般的に格付とは、どのような付けられ方をするのか簡単に見ていきましょう。
表の通り格付の付け方は、ムーディーズとそれ以外の業者(JCR、R&I、S&P、フィッチ)で少し違います。
※それ以外の業者も、CCC以下は+-の有無やDの部分など、少しづつ違います。
この表では、[【投資信託でよく見る】債券ファンドのハイイールド債・ソブリン債って何?]で出てきた、投資適格債と投機的(投資不適格)債に注目してみましょう!
ムーディーズではBa格、それ以外の業者ではBB格から、投資適格格付→投機的格付に切り替わっています。
格付について検索してみると、様々な債券が格付けされている一覧表などを見る事が出来ます。
まとめ:格付は債券の判断基準の1つ
今回の記事では、
・格付って何?
・誰が格付けをするの?無登録って大丈夫?
・格付の手法
・格付評価の段階(投資適格債や不適格債について)
について解説しました。
・発行体の企業や政府など[発行体格付]
・債券などの金融商品自体[債券格付]
の信用状態をランク分けした評価の事です。
日本で金融庁から登録を受けた信用格付業者は、7社
1.財務諸表を用いた分析
2.発行体にヒアリング
3.1と2で出た分析結果で出た格付けを、会議で判断
この3ステップで決まります。
格付についてまとめると、このような内容になります。
格付を使えば、国同士や債券同士の信用リスクについて比較ができます。
債券はもちろんの事、外国に投資をする際など、債券以外での運用でも使えるので是非覚えておきましょう。
また、このブログでは債券については、最低限の基礎をお伝えします。
しかし将来資産運用を行った場合、債券という金融商品は
・投資信託で使われる
・単体でも複雑かつ色々な仕組みの物がある
・外国の債券がある
と種類が多岐に渡ります。
種類が多いという事は、金融機関からの勧誘も多いというわけです。
その際は、複雑な債券の仕組みについてや為替についても押さえておく必要はありますが、格付についての知識も大切です。
・格付とはどんな物なのかがザックリ理解
・格付業者はどんなところがあるのか
・無登録格付の意味
・投資適格格付と投機的格付の切り替わり
この4点は、抑えておきましょう。
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