身近な企業の株が値上がり・値下がりしたケース~コロナウイルス編

②株式の基本
この記事は約7分で読めます。

株価は取引時間中、常に変動しています。

この性質を利用して、資産形成や投資を行うわけです。

 

よく証券マン時代に問いかけられた質問があります。

「株ってどういう時に上がるの?」

 

この質問を受けた時に、僕は待っていましたとばかりに色々な角度から話し続けます。

外交や選挙などの政治・企業の業績・企業が出したニュース・海外の金利がヘッジファンドが・・・

お客様は、「ポカーン」状態です。

こういった話題ばかり話していたせいで、僕自身経営者の方にしか人気はありませんでした。笑

 

話を戻すと、それだけ「どんな要因で上がるのか?」は、重要な問題なわけです。

しかし深く考えれば考えるほど、色々要因が絡まってくるので大変です。

 

そこで今回の記事では、
私たちの身近な企業の株価が値上がり・値下がりしたケースを、過去の例を使って単純に振り返ってみます。

第1弾は、今回のコロナウイルスの後、
・追い風になり上昇した企業
・向かい風になり戻りが遅くなってしまった企業

 

この記事を読めば実際の授業でも、
・株価が上がる要因
・株価が下がる要因
を分かりやすくイメージしやすいように解説できると思います。
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「巣ごもり」して「あつ森」した任天堂

世界を震撼させた、コロナウイルス。

現在は新しい働き方の「リモートワーク」など、パラダイムシフト(今まで当たり前だった価値観や思想が、劇的に変化する事)が起こり始めています。

また「ワクチン」などの接種も始まり、だんだん未来が見えてきたような感じがします。

 

しかし、コロナウイルスが流行し始めた当初は、株価は暴落し、緊急事態宣言は発令され、世界崩壊のような空気も流れ始めました。

その中でもひときわ目立った日本株があります。

任天堂(東証1部 銘柄コード:7974)です。

「巣ごもり需要」という新しい需要が生まれ、そのタイミングでNintendo Switchのゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」
通称“あつ森”
が爆発的にヒットして話題になりました。

コロナショックから、株価は○○%上昇

あつ森を筆頭にNintendo Switchで、巣ごもり需要の筆頭銘柄となった「任天堂」

コロナショックの安値から、何%上昇したのでしょうか?

2020年1月6日の株価始値(コロナショック前の株価)
43,010円
コロナショックの安値
31,880円(2020年3月13日)
コロナショック後の高値
67,880円(2020年12月17日)
2020年12月30日の終値
65,830円
※2020/1/6~2020/12/30までのデータ

 

なんと年間の上昇率は、約53%です!

コロナ禍なのに、これはすごい!

安値から高値の上昇率で見ると、約112.9%!

2021年3月26日終値現在も、64,250円と株価は好調です。

日経平均との比較

もちろんコロナという経済全体を揺るがす未曽有の事態なので、株式市場全体も暴落した後は戻しています。

同期間の日経平均株価と比べてみましょう。

2020年1月6日の株価始値(コロナショック前の株価)
23,319.76円
コロナショックの安値
16,358.19円(2020年3月19日)
コロナショック後の高値
27,602.52円(2020年12月29日)
2020年12月30日の終値
27,444.17円
※2020/1/6~2020/12/30までのデータ

年間の上昇率は、約17.6%です

安値から高値の上昇率で見ると、約68.7%!

 

2021年3月26日終値現在も、29,176.70円と株価は好調を維持していますが、任天堂と比べると、一目瞭然で任天堂の方が上がっていますね。

任天堂まとめ

元々、任天堂はかなりの優良会社です。

その上、

コロナで家にいなきゃいけない=ストレスがたまる
→ゲームで解消だ!

というロジカルが成立したことと、

 

あつ森以外でのゲーム「リングフィット」など体を動かすもので

コロナで外に出れない=運動不足になる
→ゲームで解消だ!

というロジカルも同時に成立したことが、株価の上昇に繋がった一因でしょう。

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コロナ禍で厳しくなった空運業界

任天堂と同じタイミングでも、2020年は下落したままの株式もありました。

 

皆さんも知っている企業だと、空運業界の

JAL(東証1部 銘柄コード:9201)

ANA(東証1部 銘柄コード:9202)

です。

 

そりゃそうですよね。

海外旅行どころか緊急事態宣言で、国内旅行すらできない状況が続いたわけですから。

コロナショック後も、JAL、ANAとも株価は戻り切らず

空運で代表的なJALとANA。

コロナ禍でどのような動きをするのでしょうか?

[JAL 9201]

2020年1月6日の株価始値(コロナショック前の株価)
3,375円
コロナショックの安値
1,556円(2020年11月9日)
コロナショック後の高値
3,487円(2020年1月10日)
2020年12月30日の終値
1,995円
※2020/1/6~2020/12/30までのデータ

年間の下落率は、約40.8%です

 

[ANAHD 9202]

2020年1月6日の株価始値(コロナショック前の株価)
3,600円
コロナショックの安値
2,060円(2020年4月6日)
コロナショック後の高値
3,674円(2020年1月20日)
2020年12月30日の終値
2,277円
※2020/1/6~2020/12/30までのデータ

年間の下落率は、約36.7%です

ANAとJALまとめ

年間の安値からは少し戻しましたが、2020年は任天堂と違って下落で終わったJALとANA。

これだけ人の行き来が制限されれば、当然の結果ですね。

またこの2社は財務状況も厳しく、増資(株を追加で発行してお金を調達する行為)をすることになりました。
※JALは発行している株式より約30%増、ANAは発行している株式より約40%増

増資って何?
企業が資本金を増加させる行為です。
何らかの理由でお金が必要となった時、株式を追加で発行して、投資家からお金を集める事が一般的です。
発行されている株式が増えるという事なので、需要と供給の悪化の原因になります。
「新しい事業をする!」など景気が良い時にはそこまで気にされない事もありますが、景気が悪い時などは株価が下落してしまうケースもあります。

 

2021年3月26日終値現在は、JALは2,459円、ANAは2,564円と株価は少し戻しています。

決算が出たことと、売られた株が買われる流れが(バリュー相場)があった事などが要因でしょう。

しかし、コロナで需要が高まった任天堂と比べると、難しい状況ですね。
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まとめ:同じコロナ禍でも、上昇する会社と下落する会社がある

今回の記事では、
私たちの身近な企業の株価が値上がり・値下がりしたケースを、
コロナウイルス後の
・任天堂
・ANAとJAL
を例に出して振り返ってみました。

任天堂は、
「巣ごもり需要」という新しい需要が生まれ、スイッチのあつ森も大ヒット!
年間の上昇率が約53%
安値から高値の上昇率で見ると、約112.9%
上昇しました。
JALANAは、人の行き来が制限されて、
JALは、年間の下落率が約40.8%
ANAは、年間の下落率が約36.7%

まとめると、このような内容になりました。

 

どちらもコロナショックでは下落しましたが、

任天堂は、Nintendo Switchが巣ごもり需要の追い風となって株価は上昇
JAL、ANAは、人の行き来が制限されて、株価が元に戻り切らず

同じ状況でも、会社によってこんなに違うんです。

 

株式市場はこのような条件が他にも複雑に絡み合って、上下しています。

しかし、裏を返せば絡み合っている一つ一つの事例は、しっかり理解できるレベルの事も多いです。

理解できるようになると、パズルみたいで楽しいという生徒さんも出てくるでしょう。

 

今回の様に実例を使う事で、分かりやすい授業になると思います。

是非、参考にして下さい。

 

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