債券の2つの利益の出し方を、利付債と割引債で学ぼう!

③債券の基本
この記事は約8分で読めます。

資産形成や投資での利益の出し方は、投資をする商品によって様々です。

投資先の選択肢の一つとなる「債券」では、
・償還や途中売却で利益を出すキャピタルゲイン
・利子(クーポン)で利益を出すインカムゲイン
という2種類の利益を得ることが出来ます。

 

身近な債券というと「個人向け国債」がありますが、こちらは年に2回の利子のみ。

つまりインカムゲインのみになります。

個人向け国債は中途換金の場合は直近2回分の利子が引かれてしまい、満期(償還)時には投資した分の元本が返ってくるだけで、キャピタルゲインを出すことはできません。

 

しかし、[債券って何?どんなもの?]の記事では、債券にも債券価格という”株価”のようなものが付いているとお伝えしました。

という事は、債券価格が付いている債券”であれば、中途換金や償還時にキャピタルゲインを利益を出すことが出来ます。

出来たりできなかったり・・・
このようなケースを筆頭に、債券のキャピタルゲインに関しては、株式のキャピタルゲインより複雑と言えます。

 

という訳で今回の記事では、
そんな複雑な債券の利益の出し方を
・「キャピタルゲイン」は3つのパターン
・「インカムゲイン」は1つのパターン
こちらを、割引債と利付債というシンプルな債券を例に出して解説していきます。

 

「債券」で運用を行っている投資信託は、インカムゲインとキャピタルゲインを組み合わせている事がほとんどです。

今回の記事を読めば債券の仕組みが分かり、投資信託の理解も深まります。

是非、参考にして下さい。

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キャピタルゲイン:利付債と割引債

まずは、債券のキャピタルゲインから説明します。

債券のキャピタルゲインは、償還時の元本の差益と途中売却の元本の差益の部分です。

 

債券のキャピタルゲインは、少し複雑でこんがらがります。

・新発債を満期まで持ったパターン:額面金額の解説
・債券を途中で売却したパターン:経過利子の解説
・既発債を購入したパターン

3つのケーススタディーで解説していきます!

 

このケーススタディーで例として使う債券が

利付債個人向け国債のような、利率が付いていて利子が受け取れる債券
割引債(ゼロクーポン債)利率が付いていない代わりに、償還時に債券価格の差異によりキャピタルゲインで儲けが出るような債券

この2つです。

個人向け国債の記事を読んでいただいた方は、「新発債を満期まで持っていて、利子以外に儲かるの?」と、疑問が湧くと思います。
用語解説をしながらいくので、一つ一つ丁寧に見ていきましょう!

新発債を満期まで持ったパターン:額面金額の解説

新発債とは、債券が新規に発行された状態の債券です。

今回の説明でキーワードになってくるのは、額面金額というものです。

額面金額とは
債券の最低申込単位の事。償還を迎えた時に発行体が返す金額の事でもある。
額面金額100円当たりの金額で、債券を発行する時の発行価格、途中購入・途中売却する際の債券価格とセットで使う事が多い。

 

[“割引債”の新発債を満期まで持って、キャピタルゲインが出る例]

割引債Aの条件
・額面金額10万円の債券
・額面金額100円当たり発行価格99円
・償還時は、額面金額で償還される(100円当たり100円)
・1年満期
・利率0%

割引債Aを額面10万円分買う場合の金額を求める式
100,000円÷100円×99円=99,000円

このような式で計算が出来ます。

割引債Aを買うには、99,000円かかります。
そして償還時は、額面金額(100,000円)で返してくれます。
1,000円儲かりました!
※税金は考慮していません

これが、新発債のキャピタルゲインになります。

債券を途中売却したパターン

途中売却の際も、[新発債を満期まで持ったパターン]と同じ考え方でOKです。

 

先ほどの割引債Aを例にすると、

購入時は額面価格100円当たり99円の債券が、途中に債券価格が100円当たり99.5円に値上がりしたとします。

そこで売却すると、途中売却のキャピタルゲインを得る事が出来ます。

ちなみに・・・
債券価格が、100円を超えた状態(額面金額100円当たり債券価格が101円など)をオーバーパーと言います。
額面100円当たり債券価格が100円の時は、パー
割引債のような、額面100当たり99円などの場合はアンダーパーと言います。

利付債を途中売却した場合:経過利子の解説

もし、途中売却をした債券が、
割引債では無く「利付債(利息が貰える)」
だった場合、売却したタイミングによっては、「経過利子」を貰う事が出来ます。

 

経過利子とは
利付債(利率がある債券)を売買する際に発生。
例えば、半年に1回利子を貰う事が出来る債券を、3か月(90日)で売却した場合、
・途中で買った人は、少しお得[3ヶ月分(90日分)期間も利子を貰える]
・途中で売った人は、少し損[3ヶ月分(90日分)の利子がもらえない]
と不公平になってしまいます。
それを調整するのが経過利子。
途中で買った人が、売った人に支払います。
前回の利子の支払い日の翌日から、債券の受渡日の日数で計算します。

既発債を購入したパターン

既発債とは、既に発行されている債券の事です。

誰かが途中売却した債券を購入する際は、既発債の購入という事になります。

既発債のキャピタルゲインは、
・新発債を満期まで持ったパターン
・債券を途中売却したパターン
この2つの説明の後であれば、なんとなく分かる方もいらっしゃると思います。

 

既発債で、債券価格が100円当たり99円などの”アンダーパー”の債券があったとします。

この債券を購入して償還まで保持すれば、100円当たり1円のキャピタルゲインを得る事が出来ます。

また、保有中に値上がりした場合に途中売却をしても、キャピタルゲインを得ることが出来ます。

もし購入した既発債が「利付債」であった場合は、「経過利子」を支払う事になります。
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インカムゲイン

次は、債券のインカムゲインを説明します。

債券のインカムゲインは、個人向け国債などの利付債の利子の部分です。

これは非常に簡単ですね。

 

[利付債でインカムゲインが出る例]

利付債Aの条件
・額面金額100円当たり100円
・年率1%

この利付債を100万円分買ったら、1万円の利子が貰えます。

この利子がインカムゲインになります。

 

この利率は、表面利率クーポンレートと呼ばれます。
利率と利回りは別物
似たような言葉で、「利回り」という言葉があります。
これも%で表されるので、クーポンレートと混同しやすいです。
この「利回り」は、1年あたりの運用益(実質的な儲け)の事です。
クーポンレートが変動せず、毎年同じだけの利子を貰って償還時もキャピタルゲインが発生しなければ、利回り=クーポンレートになります。
しかし、
・キャピタルゲインが発生
・オーバーパーで債券を買った為、償還時に損が出る
このような場合は、利回りは変わってきます

まとめ:債券運用は、2つの利益が組み合わさっている

今回の記事では、債券で出す
・キャピタルゲイン
・インカムゲイン
を、「割引債」「利付債」で合計4パターンの例を使って解説しました。

利付債とは、利率が付いていて利子が受け取れる債券
割引債(ゼロクーポン債)とは、利率が付いていない代わりに、償還時に債券価格の差異によりキャピタルゲインが出る債券
[キャピタルゲイン]
購入時よりも高い価格で、償還・途中売却で得ることが出来る
[インカムゲイン]
利付債の利率の分、利子として得ることが出来る。

簡単にまとめると、このような内容になります。

 

大まかに分けると、利益の出し方は株式と同じです。

しかし債券は額面金額という言葉が出てくるせいで、キャピタルゲインは分かりにくいです。

また、株式にはない「経過利子」という考え方が出てきます。

この部分が、特徴になってきますね。

 

将来資産運用・資産形成をする際は、個人向け国債のようなクーポンを気にした単体の新発債券を買う事がほとんどでしょう。

しかし担当者が付く銀行や証券会社を利用した際には、
・アンダーパーの既発の債券の購入を提案される
・オーバーパーになった為、債券を売却して違う商品を買う提案をされる
これらの事は、起こり得ます。
(実際に新人の証券マンは、既発債でお客様から新規資金を集めたりします)

その際には今回の記事に書いてある事で、担当者が何を言っているか理解できます。

 

また、運用商品の一つ「投資信託」の債券で運用されているファンドなどでは、インカムゲインとキャピタルゲインを組み合わせて売買がなされています。

既発債などは実際に購入をしなくても、仕組みをなんとなくでも知っていれば投資信託を選ぶ際にもヒントになります。

 

この2つの利益の出し方や
・額面金額
・経過利子
・クーポンレートと利回りの違い

などの用語は、是非覚えておきましょう。

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