株価は取引時間中、常に変動しています。
この性質を利用して、資産形成や投資を行うわけです。
よく証券マン時代に問いかけられた質問があります。
「株ってどういう時に上がるの?」
この質問を受けた時に、僕は待っていましたとばかりに色々な角度から話し続けます。
外交や選挙などの政治・企業の業績・企業が出したニュース・海外の金利がヘッジファンドが・・・
お客様は、「ポカーン」状態です。
話を戻すと、それだけ「どんな要因で上がるのか?」は、重要な問題なわけです。
しかし深く考えれば考えるほど、色々要因が絡まってくるので大変です。
そこで今回の記事では、
私たちの身近な企業の株価が値上がり・値下がりしたケースを、過去の例を使って単純に振り返ってみます。
・追い風になり上昇した企業
・向かい風になり戻りが遅くなってしまった企業
・株価が上がる要因
・株価が下がる要因
を分かりやすくイメージしやすいように解説できると思います。
「巣ごもり」して「あつ森」した任天堂
世界を震撼させた、コロナウイルス。
現在は新しい働き方の「リモートワーク」など、パラダイムシフト(今まで当たり前だった価値観や思想が、劇的に変化する事)が起こり始めています。
また「ワクチン」などの接種も始まり、だんだん未来が見えてきたような感じがします。
しかし、コロナウイルスが流行し始めた当初は、株価は暴落し、緊急事態宣言は発令され、世界崩壊のような空気も流れ始めました。
その中でもひときわ目立った日本株があります。
任天堂(東証1部 銘柄コード:7974)です。
通称“あつ森”
が爆発的にヒットして話題になりました。
コロナショックから、株価は○○%上昇
あつ森を筆頭にNintendo Switchで、巣ごもり需要の筆頭銘柄となった「任天堂」
コロナショックの安値から、何%上昇したのでしょうか?
43,010円
31,880円(2020年3月13日)
67,880円(2020年12月17日)
65,830円
なんと年間の上昇率は、約53%です!
コロナ禍なのに、これはすごい!
安値から高値の上昇率で見ると、約112.9%!
2021年3月26日終値現在も、64,250円と株価は好調です。
日経平均との比較
もちろんコロナという経済全体を揺るがす未曽有の事態なので、株式市場全体も暴落した後は戻しています。
同期間の日経平均株価と比べてみましょう。
23,319.76円
16,358.19円(2020年3月19日)
27,602.52円(2020年12月29日)
27,444.17円
年間の上昇率は、約17.6%です
安値から高値の上昇率で見ると、約68.7%!
2021年3月26日終値現在も、29,176.70円と株価は好調を維持していますが、任天堂と比べると、一目瞭然で任天堂の方が上がっていますね。
任天堂まとめ
元々、任天堂はかなりの優良会社です。
その上、
→ゲームで解消だ!
というロジカルが成立したことと、
あつ森以外でのゲーム「リングフィット」など体を動かすもので
→ゲームで解消だ!
というロジカルも同時に成立したことが、株価の上昇に繋がった一因でしょう。
コロナ禍で厳しくなった空運業界
任天堂と同じタイミングでも、2020年は下落したままの株式もありました。
皆さんも知っている企業だと、空運業界の
JAL(東証1部 銘柄コード:9201)
ANA(東証1部 銘柄コード:9202)
です。
そりゃそうですよね。
海外旅行どころか緊急事態宣言で、国内旅行すらできない状況が続いたわけですから。
コロナショック後も、JAL、ANAとも株価は戻り切らず
空運で代表的なJALとANA。
コロナ禍でどのような動きをするのでしょうか?
[JAL 9201]
3,375円
1,556円(2020年11月9日)
3,487円(2020年1月10日)
1,995円
年間の下落率は、約40.8%です
[ANAHD 9202]
3,600円
2,060円(2020年4月6日)
3,674円(2020年1月20日)
2,277円
年間の下落率は、約36.7%です
ANAとJALまとめ
年間の安値からは少し戻しましたが、2020年は任天堂と違って下落で終わったJALとANA。
これだけ人の行き来が制限されれば、当然の結果ですね。
またこの2社は財務状況も厳しく、増資(株を追加で発行してお金を調達する行為)をすることになりました。
※JALは発行している株式より約30%増、ANAは発行している株式より約40%増
企業が資本金を増加させる行為です。
何らかの理由でお金が必要となった時、株式を追加で発行して、投資家からお金を集める事が一般的です。
発行されている株式が増えるという事なので、需要と供給の悪化の原因になります。
「新しい事業をする!」など景気が良い時にはそこまで気にされない事もありますが、景気が悪い時などは株価が下落してしまうケースもあります。
2021年3月26日終値現在は、JALは2,459円、ANAは2,564円と株価は少し戻しています。
決算が出たことと、売られた株が買われる流れが(バリュー相場)があった事などが要因でしょう。
まとめ:同じコロナ禍でも、上昇する会社と下落する会社がある
今回の記事では、
私たちの身近な企業の株価が値上がり・値下がりしたケースを、
コロナウイルス後の
・任天堂
・ANAとJAL
を例に出して振り返ってみました。
「巣ごもり需要」という新しい需要が生まれ、スイッチのあつ森も大ヒット!
年間の上昇率が約53%
安値から高値の上昇率で見ると、約112.9%
上昇しました。
JALは、年間の下落率が約40.8%
ANAは、年間の下落率が約36.7%
まとめると、このような内容になりました。
どちらもコロナショックでは下落しましたが、
JAL、ANAは、人の行き来が制限されて、株価が元に戻り切らず。
同じ状況でも、会社によってこんなに違うんです。
株式市場はこのような条件が他にも複雑に絡み合って、上下しています。
しかし、裏を返せば絡み合っている一つ一つの事例は、しっかり理解できるレベルの事も多いです。
理解できるようになると、パズルみたいで楽しいという生徒さんも出てくるでしょう。
今回の様に実例を使う事で、分かりやすい授業になると思います。
是非、参考にして下さい。
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